「爆買い→返品ラッシュ」の裏で
こっそり儲けた企業の実名

 香港証券取引所に上場予定の中国の宅配ロッカー大手「豊巣(Hive Box)」は、特に返品ブームの恩恵を受けた企業だ。中国の都市のさまざまな場所に設置された宅配ロッカーが、商品の受け取り・返品の両面で活躍。長らく赤字だったが、今年に入り黒字化している。

「なんか違う」中国人がネット通販で「爆買い→大量返品」の怪、その裏でちゃっかり儲ける意外な企業とは?多くのマンションに設置されている宅配ロッカー(画像提供:山谷剛史)

 また、返品率が高ければ高いほど、より多くの販売業者が貨物保険に加入する必要があるので、保険会社も得をする。

 この状況を苦慮し、間もなく迎える11月11日(独身の日)のセールに“乗らない”予定のショップも多いという。そのためAlibabaや低価格ECサイト「拼多多(Pinduoduo)」の運営元は、消費者への補償をキープしつつも、ショップに負担をかけない措置を講じ始めている。

 ちなみに、今回お伝えした内容は中国国内だけの話にとどまらない。昨今、中国系ECプラットフォーム企業は世界進出を加速させているが、各社はサイトに中国同様の返品システムを導入している。

 ECプラットフォームの運営企業は「気軽に返品可能」というサービスの売りにできるものの、出店しているショップにとってはたまったものではない。海外での返品率の高さに頭を痛めている販売者も出てきているようだ。「なんか違う」と言い出す顧客が、全世界に広がる日もそう遠くないかもしれない。