仕事のやりがいを設計する

書影榎本博明『ビジネス心理学大全』(日経ビジネス人文庫)榎本博明『ビジネス心理学大全』(日経ビジネス人文庫)

 これら5つのモチベーションを高める職務特性を念頭に置いて、個々の仕事のやりがいを設計していくことで、従業員のモチベーションを高め、職場を活気づけることができます。

 実際、これらの要素を満たす仕事だとモチベーションが高くなることが証明されています。また、これらの要素を満たす仕事では、チャレンジ精神が刺激されて自己設定目標の困難度も高くなり、実際にパフォーマンスが向上することもわかっています。さらには、これらの要素を満たす仕事であるほど、従業員の満足度やパフォーマンスが高く、欠勤率が低いことも確認されています。

 このような職務特性を念頭に置いて現状を振り返ることで、職場に活気がないことの理由が分かり、改善すべき点が浮上してきます。

 活気のある職場では、多くの従業員の仕事がこれらの要素のいくつかを満たしているものです。逆に、活気のない職場では、多くの従業員の仕事がこれらの要素をほとんど満たしておらず、それが沈滞ムードを醸し出す要因になっています。

 5つの要素が大切だとはいっても、5つすべてを十分満たすというのは現実的ではありません。まずは、今の職場に特に欠けている要素、あるいはモチベーションの低い従業員の仕事に特に欠けている要素の見当を付けましょう。そこを何とか改善する必要があります。

 職種や担当する仕事によって満たしやすい要素と満たしにくい要素があります。各自の仕事の特性を考慮しながら、どうすれば少しでもモチベーションを高める職務特性に近づけることができるかを考え、仕事の与え方を工夫することが大切となります。そこを工夫できれば、職場が見違えるほど活気づくことが期待できます。