「手の内感」が圧倒的に良くなり
安心安全で、疲れない走りを実現

 クロストレック・ストロングハイブリッドは今年中に発表予定。そのため、今回の試乗は限りなく量産車に近い形のプロトタイプを使い、公道ではないクローズドエリアにおいて行った。

 場所は富士山の静岡県側で標高は1500m。一般施設の一部を改良した特設コースである。

 ちょうど大型台風が本州を横断しており、試乗会の開催が危ぶまれたが、なんとか開催にこぎ着けた。そのため芝生路面はかなりぬかるんだ状態だった。

 まずは、勾配の強い山の斜面で車幅ギリギリの細い舗装路を時速50キロ程度で走った。

 直感したのは「手の内感」の良さだ。手の内感とは、ドライバーがクルマを操作した際、クルマの動きがしっかりと先読みできて、「人とクルマ」が同期するような感覚を指す。クルマがドライバーの手の内にある、というイメージだ。

 ぬかるんだ芝生の上を走行しても、手の内感がしっかりある。

 スバルのモデルは、水平対向エンジンとシンメトリカルAWDを採用するという基本構造が特徴だ。

 そのため、クルマの重心が低いのだが、それに加えてサスペンションのセッティングもクルマの姿勢変化がじんわり進むことを重んじている。

 こうした独自の構造によって、スバル車はどのモデルでも手の内感がある。

 クロストレック・ストロングハイブリッドでは、そうした手の内感の「きめが細かい」という印象だ。

 具体的には、ステアリングの切り始めや、そこからの戻りでの電動パワーステアリングのフィーリング、路面からの突き上げなど、既販のクロストレックe-BOXER(マイルドHV)と比べて違和感がなくなっている。

 クルマ全体のバランスが良く、操作性だけでなく乗り心地も良くなっており、走りの上質感が増している。

 マイルドHVに比べると、ストロングHVは電動化に関わる部品などで車両重量が50kg重くなっている。開発担当者は「重量増の走りに及ぼす影響にどう対応するのかが、開発の大きな課題だった」と開発の経緯を振り返った。

 対策としては、後輪のショックアブソーバーが稼働する領域を増やしたり、ショックアブソーバー内部の部品を改良したりした。また、サスペンションアームのゴム製部品であるブッシュの特性を変えた。

霧の中、急勾配の細い舗装路で「クロストレック・ストロングハイブリッド」を試乗する様子霧の中、急勾配の細い舗装路で「クロストレック・ストロングハイブリッド」を試乗する様子 Photo by K.M.