FRB「利下げ幅別」株価の行方を検証、米景気ソフトランディングで有望な3セクターPhoto:PIXTA

FRBは利下げに転じる。過去の利下げ局面の最初の利下げ幅とその後の景気・株価動向を検証すると一定の傾向が見て取れる。今回、米国景気はソフトランディングの可能性が高いとみている。その際、有望と思われるセクターを3つ挙げた。(UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント ジャパン・エクイティ ストラテジスト 小林千紗)

市場は初回0.25%、今年、来年連続で
1%以上の利下げを見込む

 米国株式市場は7月以降ボラティリティー(株価変動幅)の高い状況が続いている。9月18日のFOMC(連邦公開市場委員会)において、いよいよ利下げサイクルに入る大きな転換点を迎えるにあたり、株式市場は神経質になっている。

 加えて、時期的にリスクを取りにくい地合いであることも、ボラティリティーを助長する要因となっている。具体的には、11月の大統領選挙を控えていること、9月は株価が弱含む季節性があること。加えて、過去数年間は9~10月には輸出規制など半導体需要に関わるネガティブなニュースフローが出やすいことなどが挙げられる。

 株式市場の注目は、初回の利下げ幅がどの程度になるのか(0.25%か0.5%か)、今年・来年にかけてどれだけ深く(大幅に)利下げをするのかに集まっている。それを判断するために、雇用統計やCPI(消費者物価指数)などのマクロ指標に一喜一憂する状況にある。つまり、非常に近視眼的になっているといえる。ここでは、一歩下がって俯瞰的に現在の米国の市場環境について改めて考えてみる。

 初回利下げ幅の市場予想は、8月上旬までは0.50%が主流だったが最近では0.25%が優勢となってきた(9月13日執筆時点)。ただ、2024年末までの利下げ幅の予想は1.00~1.25%程度(0.25%×4~5回分の利下げ)、25年は1.25~1.5%程度(0.25%×5~6回分の利下げ)と、今後の大幅な利下げが見込まれている。

 次ページでは、過去の利下げ局面を振り返り、最初の利下げ幅別にその後の景気、株価動向を検証する。