ホテル業界で求められる人材像とは?ホテル業界で求められる人材像とは? Photo:PIXTA

初めて社会に出る新卒の学生にとって、「会社・職業選び」はとっつきにくいかもしれない。この連載では、業界をけん引する企業がどんな事業を強化しているのか、どんな人材を求めているのかを分かりやすく解説していく。第1回では「ホテル業界」に焦点を当てる。企業分析のプロに、業界における最新トレンドや企業が求める人材像について聞いた。(ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)

ポストコロナで大復活!
2024年はホテル業界のターニングポイント

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で大打撃を受けたホテル業界だが、最近は回復の兆しを見せている。その大きな理由の一つは、訪日外国人旅行者の増加だ。

 日本政府観光局の統計によると、2024年8月の訪日外国人観光客(インバウンド)は推定293万3000人で、前年同月と比べて36.0%増加し、コロナ禍前の2019年同月と比べても16.4%増えている。また、7カ月連続で過去最高を記録している。

 また、観光庁の宿泊旅行統計調査(第1次速報値)によると、24年6月のホテルや旅館など宿泊施設全体の客室稼働率は58.5%だった。これは、20年同月の22.7%、21年同月の28.7%から順調に回復していることを示している。

 こうした状況は、ホテルの労働環境に変化をもたらしている。ホテルのスタッフ不足が深刻化しており、客室清掃やレストラン・宴会の従業員などが足りていないのだ。

 この問題を補うために、「スキマバイト」と呼ばれる短時間アルバイトが導入され始めている。ホテル業界に詳しい立教大学の沢柳知彦特任教授は、「特に23年から24年にかけて、その流れが加速しており、これは大きな変化だ」と分析する。しかも、今回は大手の外資系ホテル、例えば米ヒルトンなどがスキマバイトを本格的に導入し、一定の成果を上げている。

 そもそも、ホテルは主に3種類に分類される。ビジネス向けの設備を備えた「ビジネスホテル」、宴会や結婚式も行える「シティーホテル」、そしてリゾート地にある「リゾートホテル」だ。

 中でも、インバウンドの増加を見越して高級シティーホテルや高級リゾートホテルが次々と建設される一方、観光需要の回復でホテルの稼働率は上がっている。高級ホテルだけが盛り上がるかと思いきや、ビジネスホテルや一般的なシティーホテルも勢いづいている状況だ。

 次ページ以降では、そんなホテル業界について、改めて業界の構造や仕事内容、採用状況などをおさらいする。また、就職してスピード出世するために学生のうちから準備すべきこと、採用面接で聞かれることや業界が求める人材など、就活生に役立つ情報も伝授する。