「カラフルさがほしい」と訴えよう

 経営層や組織制度が「モノトナス(monotonous:単色、単調)」であることの不便さや窮屈さを、経営者やマネージャーとの対話で伝えてみよう。

「時短勤務の人の気持ちをわかってくれる人が経営陣にいてほしいです」

「相談でき、かつ決定権のある女性(男性)が社内にいてほしいです」

 社内意識調査などで「理解者が少なくてつらい」「カラフルさがほしい!」とコメントするのもよい。「こうすればもっと働きやすくなる」など前向きに伝えるのもよい。
 その声が大きくなれば経営陣もカラフルさを意識し始め、社外取締役に今までと特性の違う人を起用するなど行動を起こすかもしれない。相手の頭にアンテナを立てることから始めよう。

組織にないカラーの人と一緒に仕事をしてみよう

 自分たちとは異なる特性の人に業務委託で加わってもらい、一緒に仕事をしてみるのもよい。
 
その人との仕事やコミュニケーションを通じて新たな考え方、着眼点、能力などを得られるだろう。自分たちが長年慣れ親しんだやり方の不都合や不具合に気が付けるはずだ。
 そこから、異なるカラーの人に輪に入ってもらう意識がチームや組織に芽生えるかもしれない。

 事例紹介:管理職をカラフルにし始めた企業
 Webサイト制作会社のサンロフト(静岡県焼津市)は、時短勤務の女性社員を部長職に起用した。赤ちゃん本舗(大阪府大阪市)でも時短勤務の管理職を増やし始めている。男性のシニア管理職しかいなかった企業で、派遣社員として参画した女性が受け入れられて活躍し、正社員登用後に役員になった話もある。

 管理職の顔触れをカラフルにすることで、さまざまなライフステージや働き方の人が活躍しやすい制度や組織文化が創られていく。管理職像の選択肢も増え、マネジメントのあり方そのものも見直されていく。

 多様な時代に向き合うには、組織にも多様な人材が必要だ。組織のメンバー、とりわけ意思決定層の顔触れのカラフルさは「わかってくれる人」「共感してくれる人」の多さを示すものでもある。多様な人が「自分をわかってもらえている安心感」を持って働けるよう、組織のカラフルさを大切にしよう。

 もちろん、組織の色はいきなり変わらない。地道な意識醸成により、徐々に新たなカラーに対する理解を生んでいこう。

一歩踏みだす!

 ・「カラフルさがほしい」と声を上げる
 ・異なるカラーの人と一緒に仕事をする経験をしてみる

(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)

沢渡あまね(さわたり・あまね)
作家/企業顧問/ワークスタイル&組織開発/『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰/あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/プロティアン・キャリア協会アンバサダー/DX白書2023有識者委員。日産自動車、NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)、『職場の問題地図』(技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など著書多数。