低地で発展した輪島市街地
洪水と土砂災害のリスクが内在

 ここでは、洪水や土砂災害、高潮などの自然災害リスクをインターネットの地図上で調べられる「重ねるハザードマップ」(国土交通省)を使ってみよう。

 まず下の洪水ハザードマップを見ると、川沿いの低地のほとんどが色分けされており、輪島市街地の大部分が浸水の想定地域だと分かる。特に川の合流点付近にある市街地では、薄い赤色で示される3.0~5.0メートルの浸水が想定されている。

「重ねるハザードマップ」で洪水ハザードマップを表示「重ねるハザードマップ」で洪水ハザードマップを表示(提供/さくら事務所) 拡大画像表示

 低地の端にあたる場所では、0.0~0.5メートル(黄色)の浸水が予測されているものの、その範囲は非常に狭い。色がついていない場所は、海沿いや川から離れた一部の低地エリアも含まれているが、山地など高台の地形に位置している。

 このように、限られた低地に街が発展したため、必然的に洪水リスクの高い場所を利用せざるを得なかったと言える。

 次に下の土砂災害ハザードマップを見ると、川沿いの低地を囲む山地や高台の際に色がついている。

「重ねるハザードマップ」で土砂災害ハザードマップを表示「重ねるハザードマップ」で土砂災害ハザードマップを表示(提供/さくら事務所) 拡大画像表示

 この二つのマップにより、低地では洪水、山側では土砂災害のリスクが存在することは明らかだ。特に、洪水ハザードマップで色がついている地域の中でも、低地の端にあたる場所では、洪水と土砂災害の両方のリスクがある地域も見られる。

 土砂災害ハザードマップのオレンジ色で示されている範囲は、地すべりの警戒区域だ。輪島市内にも、オレンジ色の地域に住宅街が存在する例もある。また、輪島市のこの地図の範囲より東側、やや離れた場所に有名な「白米千枚田」がある。ここも、耕作地が少ない中で地すべり地帯の土地を利用して作られたものだ。