トヨタとエヌビディア、利益率が高いのはどちら?

 半導体メーカーの利益率は、特に海外のメーカーは、高い技術力を背景に高い収益性を維持しています。例えばエヌビディアの粗利益率は75.15%。純利益率55.26%です。

 世界一の自動車メーカーであるトヨタの粗利益率は20.51%、純利益率が10.96%。この数字を見ると、「実際にモノを造っていない連中が大儲けしているのはケシカラン」と思われるのも、無理がないことかもしれません。

 あれ?ご存じありませんでしたか?エヌビディアは自社の工場を持っていないんです。

 工場なきメーカー、いわゆる「ファブレス企業」です。全ての製品を外注で造り、自社は開発と設計に集中しています。ついでに言うと、最近エヌビディアの対抗品を出し台頭してきた老舗のAMDも、5Gの通信技術で有名なクアルコムもファブレスです。

 もう一つついでに言うと、車載半導体国内の雄として有名なルネサスエレクトロニクスも、最先端の製品は海外のファウンドリーに委託生産しています。国内に生産できる設備がないからです。いや、“生産”どころか試作もアメリカのグローバルファウンドリーに委託しています。一度先端を外部に投げてしまうと、取り戻すのは非常に難しいのです。日本の半導体はどうなるのでしょうね……。

 あ、冒頭で「ウチの会社は儲かっている」と豪語しましたが、私の勤務先は日本のデバイスメーカーではありません。「半導体」といっても非常に範囲が広いですからね。

 今回の話はほんの出だし。たくさん読まれるようであれば、今後さらに業界のディープな話をしていこうと思います。それではみなさま、ごきげんよう。(フェルディナント・ヤマグチ)