女性だけ前のめりでいいのか?「卵子凍結」ブームの裏で置き去りにされた男性の不妊問題『恋愛結婚の終焉』(光文社新書) 牛窪 恵 著

 若いうちから「もし将来、子を授からなかったら」と前のめりになるのは、圧倒的に女性でしょう。このままいけば、女性主導で卵子凍結の市場だけが急拡大し、「若いうちから女性のほうが準備すべき」や「不妊は女性のせい」といった社会通念が、広がってしまうのではないかと懸念されます。

 また、既に一部の女性は、SNSや海外の精子バンクで精子提供者を探しているようです。22年10月現在、世界最大とされる精子バンク企業(クリオス・インターナショナル/本社デンマーク)を通じて精子提供を受けた日本の利用者は、3年半で500人を超えたといいます(23年 共同通信、1月29日配信)。

 このまま真偽が不確かな情報や、前のめりになり過ぎる女性を放ったらかしにしたままでは、様々な弊害が生じてしまうでしょう。いまこそ社会全体として、男女共に、キチンとしたエビデンスを基にした正確な情報を共有すべきではないでしょうか。

提言:不妊原因の半分は男性にも。エビデンスを基に、正しい情報共有を