ブレ見せる首相に市場は乱高下
異次元金融緩和の検証が必要
石破新政権の発足前後から金融市場の不安定性が強まっている。
自民党総裁選でアベノミクスの功罪を検証すべきだと主張した石破茂氏が新首相に就任したので、市場はアベノミクスで始まった大規模金融緩和などの政策が大転換すると考えたのだろう。株価は下落、円高が進んだ。
金融政策の正常化は、岸田前政権で始まり、日本銀行はすでに政策金利を2回引き上げている。
しかし、石破氏は総裁選勝利後の9月29日のテレビ番組で「緩和傾向は維持しなければならない」と発言。首相就任後の10月2日の植田和男日銀総裁との会談後も「緩和維持」を発言するなど、ブレを見せている。
株価はその都度、上昇に転じたが、市場は首相の経済政策のスタンス、とりわけアベノミクスとの距離をはかりかねているようだ。
アベノミクスは、金融面では異次元緩和と呼ばれた大規模緩和策が実施された。だがこの政策は誤った目標を誤った手段で実現しようとしたものであり、その失敗はその後10年の日本経済を見ても明らかだ。
石破首相はアベノミクスの「検証」を確実に行ない、それによって今後の経済政策の方向づけを確固たるものにする必要がある。