デザインコンセプトは「カリスマティック・シンプリシティ」

福:今回の新世代モデルへのフルモデルチェンジのデザインコンセプトは、「カリスマティック・シンプリシティ」です。直訳すると「カリスマ的なシンプルさ」。分かりやすく言うと「とことんシンプルに」。

F:とことんシンプルに……。

福:はい。それが全モデルに共通したデザインコンセプトです。では具体的にどういうことか。「無駄なものを徹底的に排除して、本当に重要なものに焦点を当てましょう」という考え方です。フェルさんがおっしゃった、ボンネット上のエアスクープもそう、センター2本出しマフラーもそう。今まではフロントフェンダーの部分に「サイドスカットル」というデザインエレメントがあったのですが、それも取ってしまいました。そこにはモデル名を書いて、モデルの世界観を表していたのですが、これも外しました。Sだけではなく、全モデルから。

F:ひょっとして、ICEのクルマもBEVっぽく見せるための施策ですか。来たるべきEV時代に向けて、私のようなオラオラ系好きの人間も、スッキリシンプルなEVテイストに今のうちから慣れておけ、という。

福:いえ、それはありません。そういう考えはありません。やっぱりICE好きの方は、フェルさんのように「昔のICEっぽいクルマが好き」という方が多いと思います。ですからそこはキチンと差別化をしています。例えばICEの方のドアハンドルはフラッシュドアハンドルではなくて、従来のドアハンドルを継承するとか、ホイールアーチの黒い加飾の部分を残しているとか。

F:なるほど。ICEとEVはキチンと差別化している。ICEをEVっぽく見せるような気はさらさらない、と。

福:あくまでも「とことんシンプルに」を突き詰めた結果のデザインです。