韓国中銀は4年半ぶり利下げも、不動産価格底入れで追加利下げは慎重姿勢Photo:PIXTA

韓国経済は対中関係の悪化もあり、減速しつつある。インフレ率も鈍化してきたことから中央銀行である韓国銀行は利下げに転じた。ただ、都市部の不動産価格が底入れしつつあり、さらなる利下げには慎重な姿勢を見せている。(第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 西濵 徹)

約4年半ぶりの利下げに
踏み切った中央銀行

 韓国銀行(中央銀行)は、10月の定例会合において、政策金利を0.25%引き下げて3.25%とする決定を行った。同行による利下げはコロナ禍以降で初めてとなるほか、利下げそのものも2020年5月以来と約4年半ぶりであり、インフレ対応を目的とする利上げ局面は一段落した格好である。

 ここ数年の韓国経済を巡っては、コロナ禍一巡による経済活動の正常化や商品高に加え、国際金融市場における米ドル高を受けた通貨ウォン安による輸入インフレも重なる形で、インフレの上振れに直面してきた。

 よって、中銀は物価と為替の安定を目的に累計3%もの利上げに動いた。インフレ率は一昨年半ばに一時23年半ぶりの高水準となり、その後は頭打ちに転じたものの、中銀目標(2%)を上回る推移が続いてきた。

 その一方、物価高と金利高の共存状態が長期化していることが内需の足かせとなるとともに、最大の輸出相手である中国の景気減速や中国との関係悪化は外需の重しとなった。4~6月期の実質GDP成長率は前期比年率マイナス0.91%と、6四半期ぶりのマイナス成長となるなど景気はつまずいている。

 では、今後も利下げ路線は継続されるのか。次ページでは、経済状況を細かに分析しつつ、その行方を検証する。