円高局面は“短命”か、25年末には「米利下げの終点」が争点となり円安再起動へPhoto:PIXTA

11月のFOMC(米連邦公開市場委員会)の動向に注目が集まっているが、為替市場の予測に当たって重要なのは1年後の金利動向である。1年後には米国の利下げの終点が争点になっている可能性が高い。その時点では、再び円安へと転じるとみる。円高局面は短命に終わりそうだ。(みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔)

動きが直前まで
読めない11月のFOMC

 10月に入り、本稿執筆時点では米9月雇用統計、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨(9月17~18日開催分)、米9月CPI(消費者物価指数)、新規失業保険申請件数(10月5日終了週)、そして米9月小売売上高などが立て続けに公表されている。既報の通りだが、いずれも米国経済の堅調さを示す内容だった。

 こうした情報が徐々に明らかになるに伴って、11月6~7日に迫ったFOMCへの予想形成も徐々に固まりつつある。もちろん、直前に米10月雇用統計(11月1日)、米大統領選挙(11月5日)があるため、FOMCの動きは直前まで読めないというのが実情ではある。

 もっと言えば、新大統領の下での執政がどうなるかという最も重要な点については11月FOMC時点でも判然としていないはずであり、それが特にトランプ氏再選だった場合はさらにノイズが大きくなる。

 よって現時点の議論に大きな意味があるとは思えないが、ドル円相場の視界不良を晴らすという観点からも簡単なプレビューはしておきたい。

 次ページでは、11月のFOMCの政策金利動向の予測をしつつ、来年以降の金利動向、ドル円相場について検証する。