米国大統領選挙後は不透明要因が払拭され株価は上昇する可能性が高い。米国の利下げが継続し、米景気がソフトランディングすることが予想され、為替相場は円高に振れるだろう。そうした状況下、日本株の投資対象の絞り方を分析・予測する。(UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント ジャパン・エクイティ ストラテジスト 小林千紗)
石破新政権は日本株に中立
焦点は世界の景気動向に
石破新政権の誕生は、日本株に対して中立とみる。所信表明演説において、賃金上昇とデフレからの完全脱却を重要課題とし、財政健全化より経済成長を優先する旨を表明した。金融政策については日銀が判断すべきというスタンスを示している。
つまり、おおむね岸田政権の政策を踏襲すると見て取れる状況であり、変化に乏しいという点において、株式市場への影響は限定的と判断できる。逆に言えば、マイナス要素はなく、海外投資家にとってみれば、「安定的な日本の政治」が維持されたともいえる。
石破首相が従来主張していた法人増税や金融所得課税(財政健全化)が実施されるリスクは拭えないが、少なくとも来春の参議院選挙を終えるまでは、党内基盤を固めるため、タカ派色を薄めて政策を進めると想定される。
リスクとして株式市場が懸念するにはまだ先の話であり、それまでに経済成長が実現できれば逆にポジティブであろう。短期的なリスクは、10月27日の衆議院選挙で自民党の議席が大幅に減少する場合だろう。この場合、海外投資家からは「安定性」が崩れると取られかねない。
ただ、現状では「安定的な日本の政治」が維持されると考えられ、投資家の焦点は既にグローバルの景気動向へシフトしている。米国景気はソフトランディングすると予想している。
9月の雇用関連の統計は8月の減速から改善が見られ、米国の経済環境が底堅いことを示している。FRB(米連邦準備制度理事会)が9月から利下げを開始したことで、景気が緩やかに減速していく中でも、米国株は下支えされるとみる。
次ページでは、米国の利下げが日本株に与える影響を分析し、今後の株価動向、投資対象を予測する。