不要な土地を国に返す方法。ポイントと注意点は?
しかし、その承認を得るためには、厳しい審査や負担金があるため、手放しに喜ぶことはできません。
例えば、建物のある土地、土壌汚染されている土地、境界が明らかでない土地、所有者について係争のある土地などは、審査を申請することすらできません。審査まで進んでも、勾配のきつい崖のある土地や、竹などの、放置すると他人の土地に根っこが侵入する恐れのある木が生えている土地などは却下される可能性が高いのです。
また、審査で承認された場合でも、国に20万円から100万円を超える負担金を納めなければいけません。負担金の金額は、土地の種類や面積などによって決められます。
これらを鑑みると、不要な土地であったとしても、まずは周辺の不動産業者に相談をし、安い金額でもいいので、売却する努力をするのがオススメです。負担金を払うくらいであれば、二束三文でも売れたほうが得ですよね。どうしても売れそうにない場合には、この制度を使っていきましょう。法務省のホームページに制度の詳しい概要が掲載されています(「相続土地国庫帰属制度」で検索)。ぜひご覧ください。
ちなみに、今年9月30日の速報値によれば、申請件数は2697件で、「田・畑」「宅地(住宅用の土地)」で全体の7割を占めます。そのうち帰属件数(国の土地になった件数)は868件、却下・不承認件数は80件、取下げ件数は407件です。却下件数の半分以上は、「添付書類の提出がなかったから」とのこと。申請するときは、書類に不備がないようにしたいですね。
(本原稿は橘慶太著『ぶっちゃけ相続【増補改訂版】』から一部抜粋したものです)