日銀アンケートで浮かぶ「新しい物価目標」の水準、正常化後のあるべき金融政策とはPhoto:PIXTA

金融政策の正常化は
政策委員全員で共有

 日本銀行は2%の物価安定目標の達成に近づいてきたとして、政策金利を中立水準まで徐々に引き上げ、金融政策の正常化を進めている。今や正常化のスピードについては意見の違いがあっても、正常化を進めるという基本方針においては政策委員全員で共有されている。

 一方、立憲民主党が衆議院選挙の公約で物価安定目標を2%から「0%超」に変更することを掲げたこともあって、物価安定目標や政府・日銀のアコードの見直しが政策論争のテーマの一つになってきた。

 日銀が2%という高い物価目標を掲げさせられ、それをアコードの中で表明させられたことが異次元金融緩和を10年以上も続ける要因となったことは間違いない。目標を0%超に下げるという立憲民主党の公約は、日銀をサポートするように見えるかもしれない。

 しかし、物価目標は日銀が決めるべきものであり、政治が決めるべきものではない。今の2%目標は(半ば強制されたものとはいえ)あくまで日銀が自らの判断で掲げたものだ。日銀としてはようやく訪れたチャンスを逃さず、2%の物価安定目標達成を実現させて今の状況にけじめをつけなければいけない。そうしないと、政府が金融政策の基本方針を決めるという不自然な状況がこれからも続くことになる。