総選挙公示、問われる新政権の経済政策
「デフレ脱却」が主要課題なのか?
石破新政権が発足して8日後の10月9日に衆議院が解散され、15日に総選挙が公示された。
改めてその根深さが明らかになった自民党の「政治とカネの問題」を含め、どのように政治改革を行うかという点を中心に与野党間で論戦が行われているが、30年以上もの間、停滞が続く日本経済の再生や高齢化・人口減少などの構造問題への対応、金融政策・財政政策の正常化といったマクロ経済運営など、経済の問題でも議論すべきテーマは多い。
自民党総裁選や首相就任後の所信表明などで石破茂首相は、経済政策面では持論である地方創生を「日本経済の起爆剤」と位置付け、企業が地方に進出するのを後押しするほか、デジタル化によって都市との情報格差を解消し、地方に人材を確保すること等を主張している。
格差是正を重視し、最低賃金を2020年代に1500円まで引き上げることも掲げている。総じて言えば、地方・家計への分配を重視し、「反・新自由主義」的な色彩が強い印象だ。
一方で、衆院選(さらには来年の参院選)を控えてまずは党内基盤を安定させることを優先した面もあるのだろうが、金融所得課税強化などの国民に負担を求める政策に関する主張はトーンダウンしたほか、金融正常化についても「当面は緩和維持」との考えを語るなど、従来の「石破カラー」は後退した感がある。
経済政策は基本的に岸田前政権の政策路線を踏襲するというが、何を引き継ぎ、残された課題にどう取り組むのかを明確にする必要がある。とりわけ石破新政権がいま目指すべき経済課題が「デフレ脱却」なのかどうかは大いに疑問だ。