政府はスタートアップ企業を増やし、成長させようと旗を振る。しかし、その数は主要国の中で下位に沈む。それどころか、株式公開後に株価が上がらず利益も伸びない企業が多い。それはなぜなのか。(ピクテ・ジャパンシニアフェロー 大槻奈那)
ユニコーン企業数ランキングで
日本は主要国の中で11位
岸田前政権が「スタートアップ元年」と位置付けた2022年から早くも3年がたつ中、業界は依然盛り上がりに欠ける。
推定時価総額が10億ドルを超えるユニコーン企業数の多い順で国別に並べると、GDP(国内総生産)ランキングに沿った順位に並ぶ。GDPもユニコーン数も、世界一は米国、同じく第2位が中国という具合だ。
ところが日本は相変わらず、ユニコーン数の順位がGDPの順位より突出して低い(下図表参照)。GDPランキングは4位に位置するのに、ユニコーン企業数ランキングは、主要国の中で11位に甘んじている。
新規上場企業も精彩を欠く。IPO(新規公開)から2年以内の企業の株価を示すルネッサンスIPOインデックスを見ても、日本は米国に大きく後れを取っている(下図表参照)。
米国では、エアビーアンドビーや、ドアダッシュなど、有名な企業が上場し新興株ブームとなった21年頃のパフォーマンスは特に著しく良好で、その後一時低迷期もあったものの、足元で再び勢いを盛り返している。
一方、日本については、IPO後の株価はほとんどの期間で米国を下回っている。これを企業規模別に、かつ長期間でみると、とりわけ大規模IPO銘柄で株価の下落が目立つ(下図表参照)。
なぜ日本では、スタートアップ企業の数が増えず、株価も利益水準も低調なのか。次ページではその理由を分析する。