ながらスマホによる自転車事故に「通話」は少なく
ほとんどが「画面を見ていたことによるよそ見運転」

 今は多くの人が地図アプリを使って目的地に向かうが、これは自転車でも同じ。ハンドル部分に自転車用のスマホホルダーを付けたり、片手にスマホを持った状態で地図を見ながら自転車を運転している。中には自転車を運転しながら動画を観ている人もいるから驚きだ。ながらスマホによる自転車の事故は、通話ではなく画面注視がほとんどを占めているという。

 自転車の酒気帯び運転は、前述したようにタクシー代わりに自転車のシェアリングサービスを使う人が増加。酩酊状態ではないし、タクシーよりも安く利用できるからと軽い気持ちで利用するのだろうが、酒気帯び状態でも自転車の死亡・重傷事故率は約1.9倍になることがわかっている。

図表:自動車の交通事故における死亡・重傷事故率
自転車でも、飲酒時・酒気帯びのときの交通事故は、死亡・重傷事故率が高い(平成26年から令和5年まで) 拡大画像表示

 軽車両である自転車は原則、車道の左側を通行する。近年は普通自転車専用通行帯や自転車ナビラインなどが整備され、自転車が車道を通行することが周知されてきた。一方でクルマやバイクと一緒に車道を走るため、交通ルールを正しく理解していないことが原因の事故も増えてしまっている。クルマやバイクと違い運転免許が必要ない自転車の場合、運転者が交通ルールを知る機会も限られる。特に年配者は学校などで自転車の交通ルールを教わる機会がないので深刻だ。

自転車事故でも賠償責任は生じる
道交法を守って安全運転を!

 しかも今は自転車だけでなく、電動キックボードやモペット(ペダルがついた電動二輪車。これは道交法では「原動機付自転車」になり、ペダルで漕いでいたとしても運転免許を取得・携帯したうえで保安基準を満たす装置をつけ、ナンバープレートを表示し、ヘルメットをかぶって運転しないと違法になる)も走っているため、一層の注意が必要だ。

「自転車は交通弱者だから何かあっても守られる」と思っている人もいるが、自転車と歩行者の事故だと交通弱者は歩行者になる。また、車やバイクとの事故でも過失割合が出され、賠償責任が生じる。

 自転車保険に加入していれば賠償が必要になった際に保険を使うことができるが、飲酒運転での事故など被保険者に重大な過失がある場合は保険金が支払われない可能性もある。自転車に乗る際はくれぐれも道交法を守り、安全運転を心がけてほしい。