だが、普段クルマやバイクの運転をしている人はまだしも、買い物などで自宅の近所を自転車で走っているだけでクルマやバイクの運転はしない人だと、自転車もクルマやバイクと同じように道路交通法に定められたルールを守らなければいけないことを意識していないのが現状だろう。

 たとえば信号機がある横断歩道。車道を走る車両は、車道の信号が赤に変わったら青に変わるまで停止する。これは車道を走る自転車にも適用されるルールだ。しかし現状はクルマの間をするすると抜けて赤信号を横切る自転車が少なくない。生活道路にある一時停止の標識がある交差点でも安全確認せずに飛び出してくる自転車をよく見かける。

 自転車に関する道交法改正といえば、2015年6月1日に悪質運転危険行為により3年間で2回以上摘発された違反者への自転車運転者講習が義務化され、2023年4月1日から自転車利用者のヘルメット着用が定められた。ただし道路交通法には「自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない」という“努力義務”になっている。

 あくまで筆者の推測だが、今回の道交法改正により、ながらスマホと酒気帯び運転の取り締まりがかなり強化されると思われる。理由は、全交通事故に占める自転車事故の構成比が年々増加しているから。その中でも特に、運転者が携帯電話等使用の状態であった場合の交通事故件数が増えているためだ。

図表:自転車関連事故件数の推移自転車関連事故件数(水色)と、全交通事故に自転車関連事故が占める構成比(赤色)の推移 拡大画像表示
図表:自転車の運転者が携帯電話等使用の状態であった場合の交通事故件数の推移
自転車の運転者が携帯電話を使って「ながら運転」をしていた場合の交通事故件数の推移 拡大画像表示