石破政権の与野党「部分連合」が招く財政赤字拡大、総花的政策は“インフレ被害者”の政治不満強めるPhoto:PIXTA

政権維持でも政治は不安定化
財政赤字が拡大しインフレに

 これまで2年間、世界的なインフレと円安で、日本はインフレに見舞われた。

 この問題が完全に終わったとはいえないうちに、日本国内で新たな懸念が生まれた。それは、財政赤字の拡大によるインフレの危険だ。

 総選挙の結果、自民・公明の与党勢力が激減し、石破茂首相は、国会での首班指名を得るために野党の国民民主党と経済対策作りや来年度の予算編成、税制改正での連携に踏み出した。

 今後、他の野党も含めて、一部の政策で協力する部分連合によってさまざまな意見を取り入れ、総花的・八方美人的な政策が行われる可能性が強い。

 このため、負担の引き上げが難しくなる半面で、歳出増の圧力が強まり、財政赤字が拡大するだろう。

 財政赤字が拡大すれば、金利が上昇しインフレ率が高まるというのが伝統的な経済学の見方だ。

 インフレは、低所得層や年金生活者などの弱者ほど打撃が大きい。「部分連合」で政権は維持できるかもしれないが、政治や社会の不安定化が強まる。