「あなたの職場の会議は、誰も発言しない会議になっていませんか?」
そう語るのは、これまでに400以上の企業や自治体等で組織変革の支援をしてきた沢渡あまねさん。その活動のなかで、「人が辞めていく職場」に共通する時代遅れな文化や慣習があると気づきました。
それを指摘したのが、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』。社員、取引先、お客様をうんざりさせる「時代遅れな文化」を指摘し、現場から変えていく具体策を紹介。「まさにうちの会社のことだ!!」「これって、おかしいことだったの!?」と、多数の反響があり話題に。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「会議で誰も発言しない職場」の問題点について指摘します。
会議で意見が出ない、出しにくい、何も決まらない組織
進行役を決めないとものごとが進まない。進行役だけがあたふたと話を進めるが他の誰も発言や協力をしようとしない。話を盛り上げようと話題や議論のテーマを投げ込んでも「シーン」。沈黙が流れる。当然、何も決まらない。そのような職場がある。
一方で、とくに進行役やファシリテータ役を決めなくても誰かが口火を切って話が進み、活発な意見交換が始まる。他の誰かが手持ちのパソコンで率先してメモを取ったり、タイムマネジメント(進行管理)をしたりする。それらが息を吸うように行われる職場もある。
これも体質の差と捉えられるが、前者の文化の放置は組織にとって大きなリスクを伴う。意見が出ない、出しにくい、何も決まらない……。このような状況は「誰かが何とかしてくれるだろう」とする他責体質を強める。たかが会議とあなどるなかれ。そこから、主体性のない職場風土のできあがりだ。
会議の目的と参加者の役割を明確にする
そもそも世の中には、会議とは偉い人の話をただ聞く場だと思っている人もいる。そんな人にとっては、たとえ沈黙が多くても何も問題はない。そうかと思えば、意見を交わして何かを決める場だと思っている人もいる。
まずは会議の景色をすり合わせよう。会議の目的や成果物、参加者に求められている期待役割など確認して共有する。
・協議するための会議
・報告や通達のための会議
・情報共有のための会議
・意見照会をするための会議
・お互いの人となりを理解するための会議
・アイデア出しをするための会議
その沈黙する会議はどのような場なのかを確認しよう。それだけで「もっと意見を述べてディスカッションの場にすべきでは」「役職者の演説だけで終わるのはよくない」など、参加者に必要なアクションが明確になってくる。
会議の景色と形式を変える
会議の目的を振り返ることは、会議の形式や、そもそもその会議が必要なのかどうかを話し合うきっかけにもなる。
「通達や情報共有だけなら、わざわざ会議をしなくてもよいのでは?」
「グループチャットで共有すればいいのでは?」
報告の会議と、価値創造をするための会議とでは、適する環境や進め方も異なるだろう。
皆がスーツ&ネクタイ姿で身を固めた堅苦しい雰囲気の会議で自由な意見や発想が出るだろうか。ワーケーションのように、普段とは景色や服装を変えて対話したほうがいいアイデアや発想が生まれやすかったりもする。目的に合わせて会議の景色を変えてみよう。