参加者に求められる役割を分担する

 そもそも会議に役割分担が必要と認識していない人もいる。

 参加者や関係者の役割分担は、会議の良し悪しを決める。進行役、書記役、タイムキーパー、発表者(グループ討議などがある場合)をあらかじめ決めて進行しよう。持ち回りで役割を担う仕組みをつくるのもよい。誰か一人に押し付けたり、あるいは勇気ある人が仕切ってくれるのを待ったりするだけでは、うまくいかないのだ。

 とはいえすべての会議において、入念な準備や役割分担ができるとは限らない。トラブル対応のために突然組まれる会議や、たまたまそこにいた人たちだけで意気投合して何となく始まるアイデア出し会議などもあるだろう。

 そんなときは、あなたが率先してファシリテータになろう。主な役割は以下の通りだ。

 ・目的を提案する
 ・ゴールイメージを提案し合意する
 ・役割の分担を決める
 ・議題を提案する
 ・テーマや「問い」を投げ込む
 ・参加者の意見を引き出す
 ・まとめる(結論や決定事項をまとめる、次のアクションを決める)
 ・アイスブレークする(雑談などを仕掛けて場の空気を和ませ、参加者の心の凝りを解きほぐす)

 最も大事なのは、目的やゴールイメージの確認と合意形成である。滞りなく進行し、スムーズに結論を出すことができれば、周りから感謝され一目置かれるだろう。

ファシリテーション能力を身につける

 このように、誰もが議事進行をできたほうがよい。

 そのためには、どのような能力を高めたらよいか。ファシリテーションできるようになるためには、以下の能力を身につけておきたい。

 ・観察する力
 ・問いを立てる力
 ・期待役割を設計し合意形成する力
 ・傾聴力
 ・言語化能力

 これらの能力は組織のメンバー全員が持っておきたい。研修などの人材育成プログラムを受講し、素養として高めておこう。

 誰も仕切ろうとしない、助けようとしない。その裏には自信のなさも多分にあるだろう。会議を仕切った経験がないのに、下手に役割に名乗り出て失敗したらどうしよう……。そのような心理が働き、誰も仕切ろうとも進めようともしない沈黙の会議が常態化してしまう。
 その不安を、あなたが断ち切ろう。あなたが不安を乗り越えて進行役をかって出れば、その姿を見た人たちも少しずつ発言したり協力したりし始めるはずだ。

 一歩踏みだす!

 ・沈黙の多い会議では、目的や参加者の役割を確認して共有する
 ・ファシリテーションをかって出る勇気と能力を身につける

(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)

沢渡あまね(さわたり・あまね)
作家/企業顧問/ワークスタイル&組織開発/『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰/あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/プロティアン・キャリア協会アンバサダー/DX白書2023有識者委員。日産自動車、NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)、『職場の問題地図』(技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など著書多数。