本当に優秀な人の特徴
対して、本当に優秀な人は社内と社外の両方に意識が向いています。社内の仲間のことも気遣いつつ、仕事の意識は社外に向いているのです。
ここでのポイントは「社外にだけ意識が向いていればいいわけではない」ということです。先ほど社内に意識が向くことのダメさについては話をしましたが、社外だけでもダメです。
その理由は明確で、「社外だけに意識が向いている人」は社内の人への感謝の気持ちを忘れてしまいがちだからです。たとえば、社内のことをないがしろにする営業担当がいたとしましょう。「俺が外に出て稼いでやっている」と考えていたらどうでしょう。
いくら優秀な成績を出していたとしても気持ちのいいものではないと思います。加えて、営業が1人いれば仕事ができるわけではありません。売り物がなければ営業の仕事はないですし、売ったあとに誰かがサポートしてくれるから、営業が活きるのです。これはどの職種にも言えることですが、自分だけで完成する仕事などありません。
こういった人は、社内の人との時間を「ムダ」「効率が悪い」「自分こそ会社に貢献している存在だ」と勘違いをしてしまうのです。
本当に優秀な人はそのことを感覚的に理解しており、社内の人ともしっかりとコミュニケーションを取り、社外にも意識が向いているのです。言ってしまえば当たり前のことですが、言葉以上に実践するのはむずかしいものです。
私のいるお笑い芸人も、意識が内向きか外向きになりすぎてしまう人がたくさんいます。内向きの人はスタッフやプロデューサーのご機嫌をとることに終始し、外向きの人は「馴れ合いはいらない」と無用に仲間を切り捨てます。
当然どちらもうまくいきません。結局のところ、売れる芸人や売れていく芸人は、内向きと外向きの両方の意識を持っていますし、持っていなくとも少しずつ身につけていきます。
こういった仕事の技術の前にあるマインドセットこそ、実は大事だったりします。そのため、毎年お笑い養成所に入所してきた若手には必ず最初にこういった心構えの話をするようにしています。もしかすると「面倒くさい人だな」と思われているかもしれませんが、芸人として長く活躍するためには技術以上に大事なことであるのも事実です。
お笑いの世界以上に厳しい世界に身を置く皆さんであれば、このことの重要性については十分に理解されているでしょう。
私があえて言い直す必要もないですが、ぜひ頭の片隅に入れておいていただけますと幸いです。