確かに副産物としての鯨肉の生産量は増加し、出荷時の単価は下がった。しかし卸業者は、安く買った鯨肉を従来のまま高値で売ったために市場価格に大きな変化がなかったのだ。

 捕獲枠の拡大は、海外からだけではなく、日本の捕鯨関係者からも批判される結果に終わる。

 結局、ナガスクジラとザトウクジラの捕獲計画は頓挫する。ザトウクジラは反捕鯨国の反発に配慮し、捕獲を延期した。

 ナガスクジラにかんしては2005年こそ捕獲枠一杯の10頭を捕獲した。だが、その後の捕獲数は、3頭、0頭、1頭、1頭、2頭、1頭、0頭、0頭と推移する。

 捕獲枠を満たせなかったのはナガスクジラだけではない。

 最大935頭の捕獲を計画したクロミンククジラをもっとも捕ったのは第2次初年度の853頭。以後4年間は500頭から600頭台の捕獲数で推移し、2010年からは170頭、266頭、103頭、251頭と数を減らした。シーシェパードの妨害のなか、船舶と乗組員の安全を最優先した結果、捕獲調査が十分に行えなかったのだ。

 シーシェパードを刺激した捕獲数の増加が、やがて日本の調査捕鯨を終焉へと追い込む遠因となる。