南 自分たちが全部コントロールできるっていう前提でやってるのが、違いますよねえ。
池田 日本は、なにか新しいものを生み出すには、偶有性が必要だってことが全然分かってないからね。だから、本当に変な研究が出てこなくなった。
アメリカは1970年代頃、日本と同じことをやってたら負けるって分かったんだよな。日本が1960年代から70年代に工業化して、効率も良くなって、性能のいい製品をたくさん作れるようになって、世界を制覇する勢いになった。アメリカが同じことやろうとしても、国民の気質とかが違うからできない。それで、今までにないものを作ることにシフトチェンジして、スティーブ・ジョブズみたいなのが出てきた。
南 ジョブズがつくったスマホのデザインいいですね。シンプルなのが好きだったみたいで、「そういうふうにしろ」ってむちゃぶりしたらしい。そういうところが面白いなって思う。
スティーブ・ジョブズが
大人数の会議を嫌がった理由
南 スマホの内部のメカニズムを開発する技術者からすると、見た目がきれいとか関係ない。だけど、ジョブズは「きれいにしろ」「ボッチが何も付いていないスマホを作れ」って言う。最初にこういうものにしたいっていうのがあって、それを実現するためのアイディアを出すことを求めた。それで技術者も、いろんなことをやるようになったんでしょうね。