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革新的な起業家として知られるスティーブ・ジョブズだが、彼のような世界にインパクトを与える起業家やイノベーションが日本で誕生しないのはなぜなのか。「一度決めたことを変えるのは恥」と感じる日本人のメンタリティーとの関係性とは?※本稿は、池田清彦(著)、南 伸坊(著)『老後は上機嫌』(ちくま新書、筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。

日本でイノベーションが
生まれにくいのはなぜか?

池田清彦(以下、池田) 今の日本のやり方の悪いところは、ある基準があって、全部その基準に当てはめてやろうとするから、変なやつが排斥されていく。文部科学省の科学研究費もそうだよ。基準に当てはめようと、いろいろと書かされる。俺は科学研究費なんて要らねえから、書いたことないけど。

南伸坊(以下、南) そういうの、本当に残念な感じがしますよ。決定権を持ってる人が、そういう人ばかりなんですかねえ。

池田 そういう基準みたいなのがあると、大体選ばれるのは、終わった研究ばかりなんだよな。要するに、偉い人とか、文科省の役人が分かるような研究は、もう駄目なんだよ。駄目っていうか、お金かけるんだったら、誰もわけが分からないような研究にかけなきゃ。わけが分かんないような研究から、すごいのが出てくるんだから。

 何か基準みたいなのを作って、基準から外れた研究は全部落ちとしちゃうから、イノベーションも全然起こらない。誰もわけ分かんないんだったら、広く均等に予算をばらまけばいい。そのほうが面白い研究が出てくるよ。