今年6月のWWDC24の席上でAppleは、Apple Vision ProがMacと連携して作り出す仮想スクリーン機能で、4Kディスプレイ(3840×2160ピクセル)2台分のウルトラワイドモードを実現することを約束した。しかし、その機能はvisionOS 2.0でも2.1にも実装されることなく、Apple Vision Proのユーザーコミュニティでは、その実現を待ちわびる声が多く聞かれた。それが12月に正式リリースとなるvisionOS 2.2でサポートされることになり、米国のIT系のオンラインメディアでも取り上げられて、その完成度の高さが話題となっている。今回は、超ワイドな曲面スクリーンが場所を選ばずに使える、Apple Vision Proの新機能の意義と試用記をお届けする。実際、どれくらい画面が広く使えるのか?文章では伝わりにくいと思うので、記事後半には動画を用意した。ぜひ疑似体験してもらえればと思っている。(テクノロジーライター 大谷和利)
パソコンのディスプレイは、どんどん広いものが求められてきている
思い返せば、日本でパーソナルコンピュータが普及し始めた頃の標準的なディスプレイの色数と解像度は、わずか8色で640×400ピクセルだった。今やMacBook Airのようなエントリーモデルでも2560×1664ピクセル、デスクトップ機の24インチiMacでは4480×2520ピクセルという解像度を誇り、10ビットカラーをサポートして約10億700万色の表示が可能となっている。
拡大画像表示
しかし、多くのツールパレットを持つ複数のアプリを使いこなすプロのデザイナーや動画編集者は、それでも足りずに、2台目のディスプレイをつないで画面を拡張して使っているケースも少なくない。
さらにその上を行くのが、金融機関のディーリングルームやスペースミッションのコントロールルームなどである。こうした場所では3台から6台程度のディスプレイに刻々と変化する様々な情報を表示して業務が行われている。