職場には「なかなか先入観を捨てられない人」と「いとも簡単に先入観を捨てられる人」がいる。
この差は、一体、何だろう? どうしたら前者は後者に変わるのか?
今、ビジネスパーソンから経営者まで数多くの相談を受けている“悩み「解消」のスペシャリスト”、北の達人コーポレーション社長・木下勝寿氏の自己啓発書『「悩まない人」の考え方 ── 1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』が話題となっている。
ここ20年以上悩んでいない」という著者を直撃。本稿では1月の連休に役立つ「悩まない人の思考法」をお届けする(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)。

Photo: Adobe Stock

自分の先入観に気づく方法

 みなさんは「時速60キロメートル」が「秒速何メートル」かを考えたことがありますか?

 答えは16.7メートル。
 つまり、時速60キロで走っているクルマは、1秒後に17メートルも進んでいるので、たった3秒、目を離しているうちに50メートル先まで進んでいることになります。

 以前、私はなかなか自動車の運転ができませんでした。
 3秒で50メートルも移動する世界で、どうやって車を運転しているのだろう? そんなすごい速さで動いているのに、なぜ壁に激突したりしないのだろう?

 私には「運転できている人たち」のほうが異常に思えました。

 秒速17メートルの車を運転するなんて、「できるわけがない」──当時の私は本気でそう信じていました。
 おかしな先入観を持ってしまったせいで、「できない」が生まれていたわけです。

 ただ、そんな私でも、今は、「妙な先入観で悩まない人」に変わりました。
 今回は、「先入観の捨て方」についてお話ししましょう。

 先入観を「捨てられる人」と「捨てられない人」では、長期的に見ると、大きな差が出てきます。

 先入観を捨てるコツは、「できないという思い込み」の発生源をまず見える化させ、その中から1個でもできそうなものをやってみること。
 見える化するツールは、ノートにメモ書きでもいいのですが、私の場合は、本書で紹介したように「Microsoft OneNote」を使っています。

 こうすると、自分が今、先入観を持っているんだ、と気づくことができます。

 本書でも触れましたが、今、自分が悩んでいる、と自覚することからすべてが始まります

 自覚するのは本当に大きいのです。

 多くの人は「できるかできないか」という無意識の前提条件を持っています。
 今のままの自分が努力も変化もせずに、できるかどうかを考えるわけですが、その思考法ではいつまで経っても事態は改善しません。

「悩まない人」の思考アルゴリズムとは?

「悩まない人」は、これとはまったく別の「思考アルゴリズム」を持っています。

「人類にできるかどうか」を、まず考えるのです。

 かつて人類の中でそれをやり遂げた人(成功した人)が一人でもいたら、人類に「できる」と考えます。
 その後は、それを自分が「やるかやらないか」を考えるだけ。

 ここで大切なのは、「できる・できない」と「やる・やらない」はしっかり区別することです。

 たとえ「できる」と判断しても、あえて「やらない」という選択肢を残しておく。

 多くの人は「できる・できない」だけで思考をやめてします。
 つまり部分肯定・部分否定ができないのです。

 もし、「できる」し「やりたい」となったら、相当大変なことを自覚しつつ、今の自分に足りないことを見える化させ、1つひとつ課題をつぶしていくしかありません。

 今のままの自分で変化も努力もせずにいては絶対に事態は改善されない、ということを肝に銘じておきましょう。

 そのためにも、「できている人(成功している人)」をとことん調べ尽くすことが第一歩。
 多くの人はここで手を抜くので、ここをしっかりやれる人だけが大きなことをやり遂げる人になれるのだと思います。

(本稿は『「悩まない人」の考え方──1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』の著者による書き下ろし記事です。)