トランプ三本柱政策の日米経済「3つのリスク」、影響も裁量も大きい関税政策の不確実性Photo:Chris Unger/gettyimages

金融市場はプラス効果を「つまみ食い」
景気下押しやインフレ再燃に注意必要

 米大統領選挙は、共和党候補のトランプ前大統領が勝利し、議会選挙でも共和党が上下院とも過半数を占める「トリプルレッド」となった。

 第2期政権の閣僚人事も11月22日、財務長官に実業家のスコット・ベッセント氏を指名することが発表され、国務長官や国防長官などの主要閣僚もトランプ氏との個人的関係や忠誠心が強い陣容になる見通しだ。

 金融市場では、2025年1月20日のトランプ氏の大統領就任を見据え、早くも同氏の政策を見極める動きが強まっている。例えば、減税などの拡張的な財政政策が景気を下支えするとみられるなか、米国株や米10年国債利回りは上昇基調が継続している。米金利の上昇や投資家のリスク選好姿勢が強まるなかで、ドル円はドル高円安が進展している。その他、金融規制の緩和が意識され、ビットコイン価格は急騰している。今のところ、市場はトランプ復権をおおむね好感しているもようだ。

 だが一方で、こうした市場の動きはトランプ氏が行うであろう政策のポジティブな側面を「つまみ食い」している可能性がある。

 減税などの財政拡張や関税引き上げ、移民規制強化の第2期政権の三本柱の政策が公約通りに実施されれば、景気下押しやインフレ再燃などのマイナスの影響も大きい。

 2025年以降の日米経済は「三つのリスク」シナリオに注意が必要だ。