ここ数カ月、中国の株式市場は希望と不透明感の間で大きく揺れ動いてきた。市場は政府の経済支援の兆しを探ろうとしており、新たな期待が高まっているが、投資家は楽観論に流されないよう注意すべきだ。
最新の楽観論の火付け役となったのは、中国共産党の最高意思決定機関である中央政治局だ。会議の要旨で「適度に緩和的な金融政策」という表現が使われたことで、市場は大規模な救済策への期待を高めた。こうした表現が前回使われたのは世界金融危機の余波が残る時期で、2011年以降は聞かれなかった。会議では消費と住宅市場への一段の支援も約束された。「非伝統的な景気循環調整」という新しい言葉も――それが何を意味するにしても――期待を高めている。
この声明を受け、香港市場は9日の取引終盤に急伸し、それまでの下げを帳消しにして約3%高で取引を終えた。しかし当初の熱狂は急速に冷め、10日の市場は下落して取引を終えた。
確かに慎重な見方は妥当だ。政府が経済立て直しにより積極的になると示唆したことを受け、ハンセン指数は9月下旬から10月上旬にかけて27%上昇した。しかし、消費刺激策をはじめとする大規模な景気対策の詳細が示されなかったため、上昇分の半分以上が失われた。
市場は景気刺激策という特効薬を期待しているかもしれないが、現実はより複雑だ。ノムラのエコノミスト陣が指摘するように、中国経済は通常の景気後退期にあるわけではなく、金融緩和や限定的な財政出動だけで再び活性化させるのは難しい。