緩和予測から一転、過去最高水準の激戦となる2025年の首都圏の中学入試。子どもが積み重ねてきた努力を合格という結果に変えるために、残り1カ月をどう過ごせばいいのか。特集『総予測2025』の本稿では、難関校合格に圧倒的な実績を誇るSAPIXの広野雅明・教育事業本部本部長が、わが子の頑張りを結果につなげるための「直前期の3つのポイント」を伝授する。(構成/ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
受験者数は過去最高水準
中堅校や大学付属校が人気に
少子化や不景気の影響が予想された首都圏の2025年中学入試ですが、各模試の動向を見る限り、過去最高水準となった昨年並みの受験者数となりそうです。
志願者の増減ということでは、御三家など難関校がやや受験者を減らしそうな一方、男子校では本郷や芝など、女子校では鷗友学園女子や吉祥女子などの人気が高まっています。東邦大学付属東邦や東京農業大学第一、芝浦工業大学附属など理系大学の付属校や、面倒見が良く受験指導がしっかりした学校、探究学習に定評のある中堅校も人気が高まっています。
とはいえ、御三家も上位層の志願者が減っているわけではないので、倍率が低下しても難易度は変わらないでしょう。上位校の場合、東京大学の合格実績の増減も人気を左右する要素になります。
大学付属校の人気も復活する見込みです。特に昨年度から合格者平均点や合格者最低点など、入試結果を公表するようになった慶應義塾普通部は志願者を増やしそうです。
入試要項の変化では、豊島岡女子学園の算数・英語資格入試の導入、東京農大第一が2月1日午前に新しく入試日を設定したことなどが注目でしょう。伝統校の日本女子大学附属、光塩女子学院も算数1科目入試を2月1日午後に新たに設定しました。理数教育重視の流れは今後も続くはずです。
また、25年入試は2月2日が日曜日、26年入試は2月1日が日曜日です。その結果、プロテスタント系の学校が入試日を変更する「サンデーショック」に絡む動きが出てきます。
具体的には、25年は青山学院が入試日を2月2日から3日に動かすことで、大学付属校を中心に影響が出ます。26年は女子学院や立教女学院、東洋英和女学院の入試日変更が見込まれ、例年と異なる併願パターンが組めるようになります。桜蔭と女子学院を併願できるようになるので、女子の上位層への影響は大きいでしょう。
日程の変更は、入試の機会が増えるというチャンスが拡大する面もあれば、倍率が上昇してピンチになるという側面もあります。まずは基礎学力を伸ばし、受験学年に臨んでほしいと思います。
では、25年入試まで残り1カ月となる中、志望校合格をつかむためにどう過ごすべきでしょうか。東京、神奈川の入試は2月1日からですが、すでに帰国生入試は始まっています。埼玉は1月10日、千葉は1月20日が入試解禁日です。
中学受験の勉強を始めてから毎週塾に通い、その復習をして……と忙しかったと思いますが、最後の1カ月はさらに忙しくなります。ある意味では時間との戦いであり、限られた時間を効率的に使う必要があります。
次ページでは直前期の「塾との付き合い方」や「子どもへの声の掛け方」から、「苦手問題の取り組み方」など具体的な勉強法までを解説。入試期間中の注意点や、わが子の頑張りを結実させるための親の心得についても伝授する。