それ以降、キャリアの相談を受ける時にも「体が音をあげたらそれは降参のサインで、他の仕事・職場を考えたほうがいい」とは常に言っています。本当に、心も体も、健康だけは大事です。

「石の上にも3年」とかいうフレーズもありますけど、根性論で耐えられる人は、耐えたらその後良いことがあるよという意味もわかるし、そうなる前に体調を崩すようなら、さっさと逃げたほうがいいっていう考えもすごくわかります。

 一概な答えはないし、その人それぞれかなという気がしますね。

「いつか好転するんじゃないか」
転職するのにはかなりの勇気が必要だった

――なぜ、5年間も耐えようと思ったのでしょうか。

 居心地は悪くなかったんです。先輩も上司もすごくいい人で、単純に僕の能力が低い、というだけでしたから。

「(仕事に対する)適性と相性が悪いことで伸びしろが少ないだけだから、いつかは好転するんじゃないか」という気持ちがどこかにありました。あとは、本当に安定した企業だったので、心が多少苦しんでいても、我慢すれば生活に困ることはないんですよね。

「逃げないでいれば生きてはいける」っていう感覚があったから、飛び出すのにすごく勇気が必要な場所だったっていうのが、5年間も同じ会社に留まり続けた理由な気がします。誰か助けてくれ、とは思うけど自分からは飛び込みたくはないっていう感覚が当時はすごくあったので。

 でも、5年目の時に編集プロダクションの社長から「採用試験を受けてみませんか」という連絡をもらって。それを見るまでは本当にどこも飛び込めず、配属2日目に登録だけしたリクナビNEXTからのメールをずっとスルーしている感じでした。

 あの時、ちゃんと1回で飛び込んで偉かったなとは思いますけどね。今の自分は。

生涯年収で勝てばいいし
自分の選択を後から正解にすればいい

――当時27歳だったカツセさんが「新しい環境や職場に飛び込む勇気」を持てたきっかけは?

 3つのきっかけがありました。