12月19日、日本銀行は金融政策の現状維持を決め、一時1ドル157円台まで円安が進んだ。ただ、今後の政策金利の方向性は上向きである。一方、スイス国立銀行は12日に政策金利の0.5%引き下げを決定し、両者の政策金利の水準はほぼ変わらなくなった。だが、基調としての円安スイスフラン高は変わらない。この差をもたらすのは日本とスイスの外貨を稼ぐ力の差である。(みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔)
マイナス金利復活も
視野に入れたスイス国立銀行
12月12日、金融市場ではECB(欧州中央銀行)政策理事会の0.25%の利下げが大きく報じられたが、実は同日にはSNB(スイス国立銀行)の0.5%の利下げも行われている。
今年3月に始まったSNBの利下げの累計幅は1.25%に達しており、現行の政策金利は2022年11月以来、2年ぶりの低水準となる0.5%まで切り下がっている。
つまり、日本銀行とSNBの政策金利の水準は今やほとんど変わらないところまで来ている(下図表参照)。
こうした両国の金融政策環境を踏まえた上で、次ページでは、円とスイスフランのこれまでの動きを振り返りながら、為替市場に関する所感を示したい。