アイデアだけでは
事業化できない
小西氏は初めての挑戦ながら、周囲のサポートを受けつつ事業化にこぎ着けたと振り返る。
選考過程で社内外のアドバイザーによる支援を受けて、ビジネスプランの策定やマーケティング、プレゼンテーションのスキルなどを学んだ。また、顧客を開拓すべく社外への営業も経験。
事業化後も、財務管理の知識やマネジメントを学ぶ日々だ。何度もアイデアが否定され、思うように進展しないことが続くなど、幾多の“壁”を乗り越えてきた。
それでもサービス開始後に利用者から「管理職試験に挑戦し、合格した」というポジティブな感想をもらい、大きな達成感を味わった。「人に具体的な変化を及ぼすサービスが、自分の手で形になったことが一番の喜びだった」と語る。
新規事業の事業化には、アイデアだけなく、粘り強さや問題解決能力が必要だ。その他にも、欠かせない視点や能力がある。
ON1000プロジェクトを統括するマーケティング本部で新規事業開発や企画実現までの支援を行う菊池康孝氏は「社会課題の解決を目指す強い意志と、経営者の視点を持つことが重要。新規事業を成功させるには実行力と想像力も不可欠」と語る。
JR東日本では「駅や商業施設など会社が持つ複数の『アセット』(資産)を生かす視点も重要だ」(菊池氏)。
鉄道事業や地域活性化など、インフラに関わる課題に興味がある人はぜひ新規事業の企画に挑んでみてほしい。