スキー場ということもあり坂の傾斜はかなりきつかった。そこを拍子抜けするほど普通に走れてしまったので、こんなものかという気がしてしまうが、他メーカーのハイブリッド車ではこうはいくまい。
続いて芝生のコースへ。アップダウンもあり、前日の雨でヘビーマッド状態になっていた。見るからに大変そうだと感じたとおり、スタックしたクルマもあったが、なんとか走り切った。標準タイヤでよくぞここまでと感心した。この泥寧地は電動4WDが主流の他社製ハイブリッド車では上手く走れないのではないかという印象を受けた。クロストレックはオフロードに適したドライブモードを選択するとトラクションコントロールの制御が変わり、出力を適宜調整。パワーを絞りながらも着実に前へ前へと進んでいく感覚が増す。実に頼もしい。パワートレーンの出力がプロペラシャフトを介してしっかりリアに伝えられているおかげに違いない。
e-BOXERと乗り比べ
ストロングHVの印象は上々
広い駐車場で、舗装路での走りを確認した。ジムカーナほどテクニカルではないが、日常的に遭遇する状況より一歩踏み込んだレイアウトのコースで、ここではe-BOXERと乗り比べることもできた。
e-BOXERはアクセルを踏んでからワンテンポ遅れてパワーが立ち上がり、回転の上がり方ももっさりしている。Sモードにするといくぶんよくなるが、物足りなさを感じた。一方のストロングHVは、動き始めからリニアで力強い。爽快な走りをここでも体感した。
足回りの印象もだいぶ異なる。e-BOXERは路面が荒れた個所でややバタつき、操舵に対してやや応答遅れが見受けられる。対してストロングHVは入力の受け止め方が巧みで、乗り心地はしなやか。動きがリニアで意のままに操れる感覚がある。より上質で気持ちよく走れる。ただしブレーキフィールについては、回生の影響かe-BOXERのほうがいくぶん自然だった。
限られた条件での試乗だったが、ストロングHVの印象は上々だった。公道や冬道を走る機会が楽しみだ。
(CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一朗 写真/横田康志朗)