吸った長さの倍の秒数を吐く
交感神経の緊張を緩める「深呼吸」

 不安を感じる時は、リラックスしようと思っても難しいですよね。

 ひとくちに不安といっても、将来に対する漠然としたものや、地震などの災害が不安などさまざまですが、いずれの場合でも、何かに集中すると不安は消えていきます。東日本大震災では地域住民の方に「避難してください」とアナウンスや誘導をした方々が亡くなりました。痛ましいことですが、おそらくその方たちは「人を助ける」ことに集中していたのでしょう。

 私は地震が続いて心配な気持ちが起きると、勉強をしたり論文を読んだり、執筆に励みます。すると、作業後に気分がスッキリするのです。人はそんなにたくさんの感情を一度に持てないので、不安になりながら勉強に集中するということはできません。ですから、まず自分が「集中できること」を見つけておくのが大事。

 集中できることがないという人は、「呼吸」に意識を向けましょう。

 普通に深呼吸をするだけでもいいのですが、簡単なヨガの呼吸法「片鼻倍呼吸法」を紹介します。まず右の鼻の上を指で押さえ、三つ数えながら左の鼻から息を吸います。次に左の鼻の上を押さえ、右の鼻から息を吐く。

 吸った長さの倍の秒数を吐くのがポイントですよ。3秒吸うなら6秒吐けるのが最低ラインで、だんだん長くして5秒吸って、10秒吐くなどができるといいですね。こうした呼吸は交感神経の緊張を緩め、自律神経を調整できます。

ポジティブ感情を増やすことで
ネガティブな気持ちは解消される

 けれども、どんなに自分の心の健康を保っていても、私たちは日々いろいろな出来事に直面し、つらい、悲しい、鬱々とするなどネガティブな気持ちが出てきます。

 その時、マイナスな感情をゼロに戻そうとしていないでしょうか。意識して「嫌な気持ちを消す」ことは不可能です。

 前回と前々回で紹介した米国の新しい心理学の領域「ポジティブ・サイコロジー」には、「ポジティブ感情を増やしていくことで、ネガティブな気持ちは解消される」という理論があります。