化学業界は大激変の真っただ中にある。脱炭素対応や中国の化学品の過剰生産などの経営環境の激変で、化学メーカーの優勝劣敗も加速している。勝ち組と負け組の明暗が分かれる中、化学メーカーの従業員の働き方や待遇の実態とは。特集『化学サバイバル!』の#12では、企業の与信管理を支援するベンチャーが集めた口コミデータなどを基に作成した、従業員の不満投稿が多い“ブラック”化学メーカーランキングを公開する。対象は主要な化学メーカー20社で、10位に三井化学、6位に住友化学が入った。果たしてワースト5は?(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)
三菱ケミカルで人材流出が止まる
化学20社の“ブラック”企業ランキング
「従業員の退職がようやく止まった」。化学最大手の三菱ケミカルグループの筑本学社長はそう胸をなで下ろす。
同社では、2021年に社長に就いたジョンマーク・ギルソン氏が従業員の福利厚生にメスを入れた。中でも、住宅手当の廃止は従業員の人材流出の引き金となった。化学業界関係者は「当時、業界内では三菱ケミカルの人材流出が最も激しかった」と指摘する。
「経営と従業員の乖離が生じた」。24年のギルソン氏の事実上の解任後に社長に就いた筑本氏はそう反省。ギルソン時代に廃止された手当の復活を進めている。そうした取り組みが功を奏し、足元では従業員の離職ドミノは止まったようだ。
三菱ケミカルを例に出すまでもなく、経営の混乱などは、従業員の働き方や待遇に大きな影響を及ぼす。では、同社を含む化学メーカーの働き方や待遇、職場環境の実態とは。ダイヤモンド編集部は、企業向けに与信管理サービスを提供するベンチャー企業、アラームボックス(東京都新宿区)のデータを基に、働き方や待遇に関する不満投稿が多かった化学メーカーのランキングを作成した。
集計期間は23年1月から24年12月1日までの約2年。三菱ケミカルや住友化学、旭化成、三井化学、レゾナック・ホールディングス、信越化学工業、日東電工、東ソー、クラレ、カネカ、ダイセル、UBE、JSRといった主要化学メーカー20社を対象とした。
次ページでは、ネガティブな口コミ数を基に作成した“ブラック”企業ランキングを紹介する。10位に三井化学が、6位に住友化学が入った。ワースト5は?また、不満投稿の中身についても紹介していく。