『NARUTO』と違って『ヒロアカ』と『呪術廻戦』の最終回にはそれぞれ「堀越先生の次回作」「芥見先生の次回作」にご期待くださいと書かれていたので、そういった先生たちの新連載も始まるかもしれません。

 編集部としては全力で才能を掘り起こしていこうとするでしょう。

 ですから2026年末にXデーが来るかどうかはわからないのですが、いずれ“少年ジャンプ”にもライバル誌のような「発行部数30万部に陥る日」が来ると想定してみましょう。

『ONE PIECE』終了はビジネスモデル刷新の大チャンス

 ビジネスとして考えるとたとえ30万部になったとしても年間の売上高は50億円のビジネスです。紙の印刷コストや流通コストを考慮しても、ジャンプの場合は衰退した後も細く長く続けたほうが儲かるでしょう。ただジャンプのケースは雑誌の衰退型とは違う側面があります。

 というのもさきほどリクルートの情報誌で話をしたようなイノベーション型の視点で集英社の漫画ビジネスを眺めると、すでにスマホメディアの『少年ジャンプ+』が1億ダウンロードまで成長していることに気づかされます。

 現在の連載陣で見ても『SPY×FAMILY』『チェンソーマン 第二部』『ダンダダン』『怪獣8号』などの強力連載陣で、毎週読みたい漫画が3本どころではない状況です。

 ビジネスとしてもコミックスやバックナンバーの有料購読で収益化も実現していますし、アニメ化などメディアミックスも進んでいます。

 これはリクルートの『SUUMO』と同じ状況で、ジャンプというビジネスのイノベーションの面では実はコストが合わなくなればいつでも紙の雑誌を廃刊できる状況までビジネスモデルの進化が完成していることを意味します。

 世の雑誌の廃刊はほとんどの場合、経済的な衰退の末に仕方なく起きています。しかし、『少年ジャンプ』は見苦しい状況を迎えるまえに『SUUMO』のように「終了」させることが選択肢としては選べるのです。

 ないしは紙の『少年ジャンプ』は終了してアプリ版『週刊少年ジャンプ』の定期購読だけに移行する方式を選ぶこともできます。『ONE PIECE』終了はビジネスサイドの立場では、ビジネスモデルを刷新する一大チャンスなのです。