「読むべき連載が3本以上あるか」が購読の分かれ道

 まず衰退型の議論から。漫画誌は雑誌ビジネスの特性としては、読むべき連載が3本を超えると読者は安定して購読するし、2本を切ると購読をやめる読者が増えると言われています。

 私の場合、過去15年くらいの間に『少年マガジン』『モーニング』『ビッグコミックスピリッツ』『ヤングジャンプ』などの雑誌の定期購読を止めた経験がありますが、理由はいずれも上記の理由でした。

『ヤングジャンプ』では『ゴールデンカムイ』が終了して『キングダム』しか読まなくなったので、1話ずつのレンタルに切り替えて雑誌としては購読を終了したのです。

 それで『少年ジャンプ』はどうかというと。私の場合、定期愛読歴は50年を超えていて、これまで購読中止を検討したことはありません。

 小学生の頃は友達から借りて回し読みをしていたのですが、毎週読むようになったのは『包丁人味平』『アストロ球団』『侍ジャイアンツ』と読みたい漫画が3つに増えたのがきっかけでした。

 ジャンプの黄金期は1995年で、当時のラインナップは『ドラゴンボール』『SLUM DUNK(スラムダンク)』『キャプテン翼』『こち亀』『るろうに剣心』『NINKU-忍空-』といった具合でした。その前後の期間でも『北斗の拳』『シティハンター』『ジョジョの奇妙な冒険』など常に読むべき漫画ばかりが掲載されていました。

 その後、読むべき漫画の本数は黄金期と比べて減ったのですが、『ONE PIECE』 『NARUTO-ナルト-』『HUNTERxHUNTER』の3本柱を中心に私にとってのジャンプ購読歴は長く続きます。

 ところが2024年に『僕のヒーローアカデミア』と『呪術廻戦』が終了した後、ジャンプを手に取る時間が目に見えて減りました。

 いつも読んでいる漫画が『ONE PIECE』『あかね噺』『カグラバチ』と、おそらく少年ジャンプを定期的に読み始めて50年めで初めて喫水線まで減少したのです。たぶん似たような読者は少なくないと私は感じています。

 もちろんこの先、『ONE PIECE』が終わる日までの間、また新しい才能の新人漫画家がデビューして連載を始めるでしょう。