日本「失われた30年」の教訓、中国は聞くべきPhoto:NurPhoto/gettyimages

 中国株は2024年、政府が強力な景気刺激策を打ち出すことへの期待から、3年連続の下落にストップをかけた。一方、債券市場はそれほど楽観的ではないようだ。

 MSCI中国指数は昨年の年間騰落率が16%上昇と、2020年以来4年ぶりのプラスだった。上昇分の多くは、 政府が景気刺激策を積極的に行う姿勢を示した9月下旬以降に起きている。中国は以後、中央政府が地方政府の債務負担を引き受ける1兆4000億ドル(約220兆円)規模の対策を打ち出し、今年さらなる金融緩和を行うことを約束した。だが、最近は株価上昇の勢いが失われている。投資家はもっと具体的な政策、特に国内消費の喚起策を依然として待っているからだ。

 債券市場が示す見通しはそれより暗いものだ。中国国債の利回りは数十年ぶり低水準に落ち込み、より低成長の未来が待ち受けるとの見方を映し出す。中国の30年国債利回りは昨年末に1.93%まで低下した。2018年には4%を超えていた。

 この悲観論は根拠がないわけではない。中国経済はデフレの泥沼から抜け出せずにいる。11月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比2.5%下落し、26カ月連続のマイナスだった。同月の消費者物価指数(CPI)はかろうじてゼロを上回ったが、同0.2%上昇にとどまった。

 そこには、数十年にわたってデフレに苦しみ、ここ数年の強力な景気刺激策でようやく脱却した日本との不快な類似が認められる。実際、中国の30年国債利回りは今や、2.3%付近にある日本の30年国債を下回っている。1990年代初めに日本の不動産・株式バブルが崩壊したのと同様、中国が今陥っている苦境は2021年頃の住宅バブル崩壊が起点となっている。