定型的な業務やデータ入力などの単純作業は、おそらく5年後にはAIやロボットに置き換えられていくでしょう。けれど、AIやロボットが注文通りの仕事をきちんとこなしたかどうかを最終チェックする人は5年後も必須です。どんなにAI化が進んだとしても、最終的に間違いがないかを確認する人的な作業は発生するからです。
つまり、人間に求められるのは、実際に定型的な作業をすることではなく、定型的な作業が滞りなく完了したかをチェックする仕事です。それができるのは、実際にその作業をやってきた経験のある人でしょう。
また、AIの進化によって新たに生まれた仕事もあります。建設業界では、AIやロボット技術を活用した革新的な取り組みがはじまっています。
そのひとつが、秋田県の成瀬ダムで行われている遠隔操作による打設工事。大手建設会社が実施しているプロジェクトでは、10台以上のダンプカー、ブルドーザー、振動ローラーを完全に「無人」で操作しています。これらの重機のオペレーションは、なんと現地から400kmも離れた神奈川県小田原市で、3人のITパイロットによって行われているのです。
遠隔操作が可能にした
効率アップとリスク回避
この遠隔操作システムによるメリットはたくさんあります。
まず、作業が天候に左右されることがありません。どんな土砂降りの中で作業しても、人間がいないので人災は起きないからです。また、ITパイロットが昼夜交代で24時間対応しているので、24時間の稼働が可能です。人間なら適度な休憩が必要ですし、24時間働き続けることはできませんが、重機ならそれが可能というわけです。その結果、工期が大幅に短くなりました。
また、故障前に重機のセンサーが反応して検知するので、機械の故障で作業を一時中断せざるを得ないというリスクもほぼなくなりました。そして、プロジェクト全体の効率が飛躍的に向上したのです。