Luup社長がSNSの大炎上に反論「社会の公器になる」!電動キックボード利用拡大の光と影Photo by Yuito Tanaka

2023年7月の道路交通法(道交法)の改正により、ビジネスチャンスを広げた企業がある。電動モビリティのシェアリングサービスを展開するLuupだ。しかし、法改正の裏側で電動キックボード利用者による交通違反が相次いでおり、SNS上では大きく批判の声が上がっている。渦中の人物であるLuupの岡井大輝社長に、安全への見解、そしてSNS上での大炎上について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 田中唯翔)

1年で利便性は9倍に
一方で安全性の課題に直面

――2023年7月に道路交通法(道交法)が改正され、電動キックボードが「特定小型原動機付自転車」に分類されました。これを受けて事業にどのような変化がありましたか。

 法律が整備されたのはもちろん大きいですが、もう一つ重要なのは23年5月に3000カ所だった置き場所(ポート)が、24年10月には10000カ所となり、3倍以上増えたことです。乗る場所や降りる場所が約3倍ずつ増えているので、実質的には利便性が9倍向上しました。

 ポート数が少なかった3年前は観光やデート目的の利用が多かったのですが、ポートが自宅やオフィスの近くに増えたことで、8割以上のユーザーが通勤・通学、日常の買い物などで利用するようになりました。

 多くのユーザーは、何度か使うと日常的に使ってくれるようになる。どんどんユーザーが増えたことが、大きな変化だと思っています。そして、ユーザー数が一気に増加したことによって、安全対策の必要性がさらに高まった一年でした。

――ポート数が約1年間で3倍に増えた理由は。

 われわれが営業しているケースもありますが、ポート数、ユーザー数が増えると、その付近の不動産会社から問い合わせが増える現象が起きています。また東急さんや西武鉄道さんに資本参画いただいたように、大手企業との提携も進んでおり、LUUPを見たことのある人が増えたことも要因にあると思います。

――Luup社のホームページを見ると鉄道会社との提携など、まちづくりという側面も強調されています。Luup社はどのような経緯で創業したのでしょうか。

 元々、介護士もしくは介護に準ずる活動をする方々をスマホアプリで自宅に呼ぶことができるサービスをつくろうと考えました。しかし、鉄道が発達した日本では、一人の人を必要に応じて家に運ぶことは効率が悪いということが分かりました。

 なので、鉄道社会をより一歩進める形の交通インフラを先に造ろうということでこの事業を始めました。日本は世界各国と比較し、公共交通への依存率が高いです。鉄道とバスが高度に発達し、便利になったタイミングで経済成長した国なので、駅前に全ての生活機能が集中しています。

 スマートフォンとIoTの力で交通インフラをアップデートした小型モビリティがあれば、駅から徒歩30分離れた場所に、5分から10分でたどり着くことができるようになります。駅から離れていても駅前と同じように暮らせるということです。

道交法の改正により、Luup社は事業を拡大している。しかし、電動キックボード利用者の交通違反が相次いでいることから、事業への批判の声も大きい。次ページでは、安全への見解、そしてSNS上での大炎上について語った。