上場廃止ラッシュ2025 東証の淘汰がついに始まる! #10Photo by Shotaro Imaeda,JIJI

USスチール買収が混迷を極める日本製鉄。だが、日鉄が火種を抱えているのは海外だけではない。国内のある子会社が上場廃止の危機に直面しているのだ。特集『上場廃止ラッシュ2025』(全11回)の#10では、上場廃止危機に直面する日鉄子会社の実名を明かし、アクティビストとのせめぎ合いを描きながら、日鉄のグループ戦略の神髄に迫る。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

日鉄の子会社が「上場廃止危機」
アクティビストとつばぜり合いに

 日の丸製造業の“巨人”が壁にぶち当たっている。

 国内鉄鋼最大手の日本製鉄は、米鉄鋼大手のUSスチール買収の先行きが見通せなくなり、事態は混迷を極めている。

 だが、日鉄が火種を抱えているのは海外だけではない。国内の上場子会社で、上場廃止の危機に直面している企業があるのだ。

 日鉄には数多くの上場子会社があり、OBの天下り先になっているところも多い(社名と出資比率、天下りの人数は次ページ図参照)。実はその中で、東京証券取引所の上場維持基準に抵触し、上場廃止危機に陥っている企業がある。

 事態の鍵を握っているのがアクティビストだ。彼らは「親会社である日鉄と少数株主との間の利益相反懸念」を指摘し、日鉄の上場子会社の在り方に異を唱えている。

 日鉄もアクティビストの動向を無視できなくなり、対抗策に打って出た。子会社の上場維持を巡り、日鉄とアクティビストとの間でつばぜり合いが起きているのだ。

 米国の超巨額M&Aの陰で、いったい何が起きているのか。

 次ページでは、上場廃止危機に直面する日鉄子会社の実名を明かし、アクティビストとのせめぎ合いを描きながら、日鉄のグループ戦略の神髄に迫る。