上場廃止ラッシュ2025 東証の淘汰がついに始まる!#3Photo:PIXTA

東京証券取引所の改革の矛先は、ベンチャー企業らが新規株式公開(IPO)するグロース市場にも向けられる。上場後に株価が低迷するIPO銘柄があまりに多いからだ。そこで野村、大和、SBI、メガバンク系の証券6社が主幹事を務めたIPO銘柄の株価パフォーマンスを調べたところ、かなり大きな格差があることが分かった。1位と最下位の主幹事証券会社はどこか。特集『上場廃止ラッシュ2025』(全11回)の#3でランキングをお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

成長しない「上場ゴール」銘柄多数
東証が問題視、グロース改革に着手

「時価総額基準を上場後5年で例えば50億円、上場後10年で100億円といった形で引き上げ、上場後5年の基準を新たに設けることにフォーカスするのが一番実効的ではないか」

 2024年12月、東京証券取引所の市場区分見直しをフォローアップする有識者会議。この日の議題であるグロース市場の今後の対応について、メンバーからこんな意見が出た。

 本特集#1『【上場廃止目前ランキング】東証プライム50社、スタンダード88社…流通株式時価総額が足りない企業が名古屋へ“都落ち”の兆候』と#2『日産、みずほ、伊藤忠が出資する会社も上場廃止の危機に!「流通株式比率基準」を巡り対アクティビスト“攻防戦”が勃発』で見てきた通り、東証の経過措置終了後、流通株式時価総額などが基準に達しないプライム市場やスタンダード市場の上場企業が上場を維持できなくなり、「上場廃止ラッシュ」が起きるのは必至だ。

 一方、グロースは、規模の小さいベンチャー企業らが上場する市場だけに基準はそれほど厳しくない。実際、グロースの基準未達企業は、プライムやスタンダードより少ない。

 グロースには「上場10年経過後、時価総額40億円以上」という基準も存在する。だが、12月の会議では「10年後から適用というのは少し長い」という意見も出た。冒頭のコメントのように、上場維持基準を切り上げるべきだと考える市場関係者は多い。

 東証を傘下に持つ日本取引所グループの山道裕己CEO(最高経営責任者)も「『上場ゴール』という言葉があるように、上場したら成長しないような会社が存在する」と指摘する。成長しない企業が上場する市場に魅力はない。東証の問題意識はそこにある。

 一方、12月の会議では、IPO実務に関わる証券会社などにもグロース市場のあるべき姿を「共有されることが重要」との意見も出た。特にIPOごとに中心となって支援する証券会社は主幹事証券会社といい、全体のスケジュール管理や公開価格の決定など重要な役割を担う。

 では主な証券会社が主幹事を手掛けたIPOで、上場後の株価パフォーマンスに優劣はあるのか。調べてみると、証券会社によってかなり違いがあることが分かった。その結果を次ページで公開する。