【スクープ】GMOが900億円超の巨額賠償訴訟!熊谷氏“肝いり”の仮想通貨マイニング事業失敗で米企業と泥沼トラブルPhoto:SOPA Images/gettyimages

GMOインターネットグループが、米国で900億円超の巨額賠償訴訟を起こしていることが分かった。グループを率いる熊谷正寿会長兼社長の“肝いり”で始めた仮想通貨マイニング事業が失敗し、米企業とトラブルを抱えている。特集『上場廃止ラッシュ2025』(全11回)#6で、その詳細をお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

北欧でマイニング事業失敗も
熊谷氏「可能性を信じる」

「仮想通貨のマイニング事業を再構築します。得た知見と経験を活かして、来年は必ず飛躍の年にするぞ」「仮想通貨が変える未来、その可能性を信じる気持ちは変わりませんよー!」

 2018年12月25日、自身のツイッター(現X)にこう投稿したのは、GMOインターネットグループの熊谷正寿会長兼社長だ。この日、GMOは18年12月期決算で仮想通貨マイニング事業による約355億円の特別損失を計上すると発表。ビットコインの相場下落や、自社で進めてきたマイニング装置の開発中止などが特損の原因だとした。

 だが冒頭の投稿の通り、熊谷氏自身は事業継続を諦めるそぶりを見せなかった。翌年2月開催の決算説明会でも「マイニング事業は一時的な失敗。必ず取り戻す」と強気の姿勢を示していた。

 マイニング事業は、ブロックチェーン上で新しい取引データを検証・承認することにより、その一連の作業に対する報酬として暗号資産を得る。そのための装置を24時間稼働させるためには、膨大な電力と冷却システムが欠かせない。

 17年にマイニング事業を始めたGMOは当初、寒冷地の北欧にデータセンターを構えたが、前述の理由で撤退。次の拠点に選んだのが、米国だった。北欧での事業継続を断念したほぼ同時期の18年11月、データセンターを運営する米ウィンストン社と施設利用契約を結んでいる。

 だが、GMOは米国でも事業に失敗し、23年10月には施設からの撤退を余儀なくされた。さらにこれまで膨らんだ損失を回収するかのように、GMOが起こしたのがウィンストン社に900億円超の損害賠償を求める巨額訴訟だ。これに対してウィンストン社もGMOを逆提訴し、泥沼化の様相を呈している。

 このままでは“飛躍”どころか、 仮想通貨がそれこそGMOのビジネスの“未来”を変えてしまいかねない。一体何が起きているのか。次ページで明らかにする。