しかも冷蔵庫を開けたら開けたで、「冷凍のスペース狭っ!!!」と思わず口に出ることも多い。カップのアイスすら入らない。棒アイスしか侵入するスペースがないそれは、もはやミッション・インポッシブルだ。

 たまに冷凍のスペースが気持ち広めな時に缶のハイボールをキンキンに冷やしたくて、少しだけ冷凍スペースに入れておこうとしたら霜で缶が「スーン」と滑り、奥の冷蔵スペースに落下してしまう。冷凍マグロみたいに……。やはり切ない。

 冷蔵庫に飲み物を入れシャワーを浴びてから飲もうとすると、全然冷えていないこともある。よくよく見てみるとそもそも電源が入っておらず「ご使用時は冷蔵庫の電源をオンにしてください」と小さく書かれている。「いや、わかるか~!オンにしてもオフにしても、スイッチのオレンジの明かり薄めやがな!省エネ大事なんわかるけど、これは気づかんて!」

 1人ブツブツ言いながら、しぶしぶ電源をオンにする。

なかなか見つからない
Wi-Fiのパスワード

 今や冷蔵庫と同じくらいすぐに探してしまうのは、Wi-Fiのパスワードだ。地方ロケのあと、ビール片手にタブレットでNetflixやAmazonプライム・ビデオ、YouTubeなどを見るのが最近の楽しみの1つだ。だがこのパスワードというのも、ホテルから放たれる刺客の一つだ。

「どこに書いてんのや?」

 部屋に入ってすぐ、パスワードの大捜索が始まる。

 書かれている可能性の高い、カードキーが収められていた簡易な紙のケース。書いていない。デスクの上に置かれた、黒革の厚めのブックタイプのホテル案内に目を通す。書いていない。テレビをつけると最初に映るホテルの案内画面に表示されていることも多いが書かれていない。

 僕の信条としてホテルの方になるべく迷惑をかけたくない気持ちが強い。1度だけいくら探しても見つからないことがあり、申し訳ないと思いながら、フロントに電話をしたことがある。謎の敗北感を抱きながら、

「Wi-Fiのパスワードってどこに書いてますでしょうか?」

「今お電話されている電話機に書かれております」