エコノミストらは、ドナルド・トランプ次期米大統領が打ち出している関税引き上げや減税、移民制限の影響をモデル化し始めた。その結論は、インフレ率と金利が少なくとも今後2年間、大統領選前の予想よりも高くなる公算が大きいということだ。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の四半期調査に回答したエコノミスト73人による予想の平均によると、2025年12月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で2.7%上昇すると予想されている。昨年10月時点の調査では、2.3%と予想されていた。
「トランプ政権が発足することで、インフレと金利のリスクは上向きになっている」。PNCファイナンシャル・サービシズ・グループのチーフエコノミスト、オーガスティン・フォシャー氏はこう述べた。
最新の個人消費データに基づくと、このより高い予想インフレ率が丸1年続いた場合、平均的な世帯の負担は約600ドル(約9万4000円)増えることになる。
トランプ氏は2020年の大統領退任時よりも経済がかなり好調な中で、20日に再び大統領に就任する。国際通貨基金(IMF)は17日、米国の経済成長のペースは引き続き他の先進国を大きく上回っており、失業率は歴史的水準から見て依然低いと指摘した。
しかし、インフレ率はかなり低下してきたものの、4年前より高い。トランプ氏がホワイトハウスに復帰できた主な理由の一つは、物価高騰に対する国民の怒りだった。
トランプ氏は選挙期間中、石油掘削を増やすなどして物価を下げると繰り返し約束してきた。
1月10~14日に実施された今回のWSJ調査によると、エコノミストは2026年のインフレ予想も引き上げ、同年末時点のCPI上昇率が2.6%になるとの見方を示した。昨年10月時点では2.3%を予想していた。それでも昨年12月に記録した2.9%よりは低い。