――離島に関する他のメディアと「はなれじま広報部」の違いとは?
濱崎 大きく異なるのは、「この観光地が素晴らしい」「この商品がすごい」といったプロモーション目的の記事を作らないことです。
離島に関する既存のWebメディアやコンテンツの多くは、その島の魅力を直接的に伝えていますが、それだと、他の島の方が見ても参考になりにくいといえます。
そこで我々は、島の魅力を伝えようとしている人にフォーカスして、その人の思いや、PRやECに関する手法を取材で掘り下げて紹介することにしました。
オープンから半年で、瀬戸内海の家島や坊勢島、鹿児島県の長島、島根県・隠岐諸島の中ノ島・海士町、山口県の周防大島などに伺い、現地でビジネスを手がける事業者さまを取材して、記事にまとめました。その他にも、離島の事業者さまの参考になりそうなECやPRに関するノウハウ記事を発信しています。
――手応えはいかがですか?
田上 予想以上にご覧いただけている感触があります。北海道や関東から「サイトを見た」と直接メッセージをいただきますし、サイトに興味を持ったデザイナーさんから連絡をいただき、弊社のチームに加わってもらうことになりました。
今はまだこのメディアから収入を得られていないのですが、取材をきっかけに仕事のご相談をいただいています。
今後も「はなれじま広報部」ではプロモーションはしない予定ですが、ここで得たつながりを元に、コンセプト構築から手がける島独自のメディア構築サービスや、SNSの運用支援、新商品のパッケージデザインなどをして、離島の事業者さまをサポートしたいと考えています。
――大阪公立大学イノベーティブシティ大阪ラボとの共催で、離島に関するイベントも開催されるそうですね。
田上 大阪公立大学教授の二宮麻里先生と知り合って、トントン拍子で決まりました。きっかけは大阪信用金庫さんのシェアオフィスに入居している縁で、大阪信金の方に二宮先生をご紹介いただいたことです。オープンから半年で予想外の展開が起きて、驚いています。
他にもシェアオフィスの交流会でさまざまな経営者の方とのつながりをつくることができ、本当にありがたいです。
――今後の展望をお聞かせください。
濱崎 「はなれじま広報部」は既に離島にお住まいの方だけでなく、島に関心のなかった方にも読んでいただきたいと考えています。そうした方には、自分なりの島との距離感を見つけ出していただきたい。
移住までいかなくても、関係人口のような形で関わったり、特産品を買ったりするだけでもよいのです。そうした方を増やすことで、離島と本土がよりシームレスにつながる未来をつくっていきたいですね。今は大阪から近い瀬戸内海の島々が中心ですが、北海道から沖縄まで取材範囲を広げていく予定です。
(取材・文/杉山直隆 協力/大阪信用金庫 「しんきん経営情報」2025年2月号掲載)
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