あの会見でフジテレビの港浩一社長は、中居さんと女性の「トラブル」について23年6月というかなり早い段階で把握して「心身の回復とプライバシーの保護を最優先」に対応をしていたと説明した。だから、トラブルがあったことを世間に公表しなかったという。ごもっともである。

 ただ、ここから「ギョーカイ人の非常識さ」に多くの人々が唖然とする。

 港社長が事態を把握してから昨年12月に「女性セブン」がこのトラブルの存在を明らかにするまでおよそ1年半あるのだが、その間、フジテレビでは中居さんのレギュラー番組「だれかtoなかい」を継続しているのだ。

 それだけではない。24年4月にはカンテレとともに新しい冠番組「ココロのナカイ」がスタート。24年5月には「中居正広の芸能人!お友達呼んで来ましたグランプリ」という特番の第2弾も放映されている。

 これは女性の「心身の回復」を最優先にするという説明と思いっきり矛盾する。

 報道によれば、中居さんとのトラブル後、女性は警察に駆け込むことも検討。その後にPTSDを発症して入院もしている。また、週刊文春の直撃取材に応じた女性は「加害者もフジテレビに対しても私は許してない。絶対に許さない」と心境をこぼしている。

 そんな女性の立場になって考えていただきたい。PTSDにまでなるトラブルを起こした相手が1年半にわたって何事もなかったかのようにレギュラー番組に出演し続け、しかも新しい冠番組などが続々と決まっていくのを見れば、症状が悪化していくのは間違いないだろう。

 しかも、「あなたの心身の回復とプライバシーの保護を最優先します」というフジテレビからは完全に裏切られた形だ。「結局、泣き寝入りしておけということか」とフジに対しても「絶対に許せない」という怒りが強まるのは容易に想像できよう。

 ちょっと考えれば、この番組継続という対応が事態を悪化させたことは明らかだが、報道を見る限り、港社長らはそう考えていない。それどころか、世間の感覚と大きくズレた、なんとも“ギョカーイ人らしい”言い訳をしている。